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お茶博士 大森正司氏 × 創業者 迫田圭子お茶博士 大森正司氏 × 創業者 迫田圭子


  • 大森正司氏プロフィール

    大妻女子大学 名誉教授/「お茶大学」校長/農学博士。
    1942年生まれ。専門は食品科学。東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻博士課程修了。
    長年にわたり、お茶の科学的分析、薬効などについて研究調査を行っている日本茶研究の第一人者で、お茶博士として日本茶の普及に努める。現在は「大妻女子大学お茶大学」で食育・茶育の指導者育成をしている。『おいしい『お茶』の教科書―日本茶・中国茶・紅茶・健康茶・ハーブティー』(PHP研究所)『新・緑茶の驚くべき効用』(チクマ秀版社)など、著書多数。


  • 迫田 圭子プロフィール

    社会福祉法人あすみ福祉会(茶々保育園グループ)創業者
    ※現在、理事・統括園長
    昭和54年に社会福祉法人茶々保育園(埼玉県入間市)を設立し、園長として、18年間保育にあたりながら、
    平成6年に㈱ コンビチャチャとして外出支援事業・保育事業指導を行う。
    翌年、立正大学社会福祉学部において保育士養成に専任教員として携わる。
    平成25年に同大学の教授を退任すると同時に、
    あすみ福祉会 理事長を退任し、理事に就任する。

    【著書】
    改訂「保育所運営マニュアル」 中央法規
    「見る・考える・創り出す乳児保育」 萌文書林
    保育力検定2級、3級 テキスト作成 など

    【ソフト開発】
    「育ちの記録」 保育ソフト開発 茶々保育園グループ
    「自園の保育システム」 保育ソフト開発 茶々保育園グループ

    【TV出演】
    NHKすくすく赤ちゃんなど育児番組に出演

  • 「食」は人生を豊かにする

    大森
    先ほど園内を見せていただきましたが、本当に素晴らしい環境ですね。園児さんには、丁寧にお茶まで出していただきました
    迫田
    ありがとうございます。茶々保育園(入間)は茶畑に囲まれていることもあって、お茶は私たちの園ではとても身近なものです。子どもたち自身もお茶会をしたり、どのお茶をいれるのかを子ども同士で決めたりしています。
    大森
    いいですね、保育にお茶を自然に取り入れていらっしゃるのですね。先ほどは、広いランチルームも見せていただきました。
    迫田
    お茶とともに食事もとても大切にしています。保育園では12時間近くお子さんをお預かりしていますので、食事が生きる源になってくるのではないでしょうか。そのため、与えられる食事だけではなく、子どもたち自らが食に関わることが大切だと考えて、子どもが自分の食べる量を選べるように、ビュッフェスタイルで提供しているのが特徴です。
    大森
    自分で選べるのですね。何歳からビュッフェスタイルをやっているのですか?
    迫田
    3歳からです。ビュッフェスタイルにしたのは30年ほど前ですが、茶々保育園が先駆けだったのではないかと思います。そのため当時は、スタッフからも「子どもたちが好きなものばかり食べて、食べ過ぎると偏りが出てしまう」と大反対されました。まずは3週間やってみてほしい、やってみて問題が起きるようだったらやめるから、とスタッフに伝えてスタートしました。
    大森
    やってみていかがでしたか?
    迫田
    実際にやってみると、1週間もしないうちに子どもたちは適量を取るようになったのです。確かに数日間は、食べ過ぎてお腹を突き出してフーフー言っているような子どももいました。でもだんだんと、おかわりすることができるし大丈夫だということがわかってくると、適量を取れるようになっていきました。また、野菜が嫌いだと言っていた子どもたちが、ドレッシングを2種類用意することで、きちんと食べるようになったりもしました。このような子どもたちの姿を見て、「自分で選ぶということは、こんなにも人を変える力があるのだ」ということがわかりました。
    大森
    食事を中心として、人の成長や関わりを捉えるということが素晴らしいですね。私は子どもが好きで、子どもの発達も研究していますが、人間の人生にとって「食べる」ということはとても大きな意味をもつことだと感じています。赤ちゃんの頃は母乳やミルクを飲んで、お腹いっぱいになると寝ますね。食べては寝て、そのくり返しで大きくなっていきます。保育園を経て小学校・中学校・高等学校と学び、仕事や社会活動をしている間も、人は食べて成長していきます。そして晩年になると、最初にできなくなってくるのは食べることなのです。食べることができなくなって、やがて人生を全うします。人間にとって食べることは人生を通して行われるとても大切なことなのではないでしょうか。そのため、どこで、誰と、何をどのように食べるのかということは、健康や人生に大きく関わってくるのではないかと思います。そのように考えると、保育園の5歳児までの食事というのは、その人に大きな影響を与えるものだろうと考えていたので、今のお話の内容はとても感じ入りました。
    迫田
    ランチルームは、子どもたちから調理の様子やスタッフの様子も見えるように設計しているため、自分たちの食べているものがどのように作られているのかを知ることができます。また、温かいものは温かいうちに、冷たい方が美味しいものは冷たいまま出せるところも、ビュッフェスタイルのよさだと感じています。このように食事のスタイルの変化によって子どもの姿が大きく変わったことで、スタッフにも気づきがあったようです。「食事でこれだけ子どもたちが変わるのなら、きっと保育室などもよりよい環境に変えられるはずだ」と思うようになったようなのです。食事での試みを経験して、園の環境も見直すきっかけとなりました。
    大森
    テーブルごとに集まってみんなで食べるというのは「同席同食(どうせきどうしょく)」ということですね。同じ席で同じものを食べるということは、生活様式が変わって難しくなってきています。どうしても孤食・個食になりますから。これは社会の変化でやむをえない状況ということもありますが、意識的に同席同食という環境をつくることは人間関係を築く上でもとても大切だと思います。