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  • デザインは見栄えだけでない、
    人やコミュニティを動かす力がある。

    迫田
    <銀木犀>は、これからますます増やしていくと聞いています。
    下河原
    3ヶ月に一棟ずつ建てていく計画です。
    迫田
    スチールパネル工法というメソッドで、建築費の初期投資の削減や工期の短縮といった重要な課題が解決できるそうですね。
    下河原
    そのぶん、内装や運営に費用をかけるようにしています。
    迫田
    <銀木犀>は、これからますます増やしていくと聞いています。
    下河原
    はい。これもデザインの力が大きいと思います。「できれば、オシャレな環境で働きたい」という声は保育士さんにも多いでしょう。それは若い人だけでなく、中途で参加される経験者も同じです。
    迫田
    デザインを追求すると「中身を疎かにして・・」と避難されることもありますが、それは違いますよね。私は「外見は一番外側の中身だ」と思っています。たとえば、茶々の保育士が身につけるエプロンは、既成品ではなく特別にデザインしたものです。身につけて気持ちよく、機能性も高いのですが、それ以上に「子どもの一番近くにいる大人として、ちゃんとした身支度をしているのだ」ということを意識してほしいんです。
    下河原
    デザインの力はそういうふうに波及しますね。<銀木犀>の“心地よさ”も最初は入居者のためにカタチにしたことですが、スタッフにも、ご家族にも、ここを訪れるお客さまにも喜ばれています。高齢者施設の経営者はデザインに疎い人が多いのですが、いかにも介護施設という感じのステレオタイプな施設は、お年寄には苦痛ですよ。ゆったりくつろげない。“地域との交流”が叫ばれていますが、スペースを設けて近所の人に「来てくれ」と言っても誰も来たくないです。
    迫田
    確かに“地域との交流”は、保育園も重要視しています。しかし、概念だけでは何も進まない。そこで、私たちは保育園と社会とのコミュニケーションをデザインするために、ちゃちゃカフェを作ったんです。
    下河原
    それで保育園の中にカフェがあるんですね。
    迫田
    ここは私たちも使用しますが、地域にも開放しています。地元のおばあちゃんの寄合所になったり、放課後に小学生が宿題をしていたりする。自然と交流が生まれて、保育園でイベントを開催すると、いろいろな人が来てくれるようになりました。デザインは見栄えだけでなく、人と人の関係性や動きも生み出すことができるということを再認識しています。

    既成概念を打破した先にある、
    奇想天外な可能性について。

    下河原
    保育業界も介護業界も、施設や人材不足、財政難など、いろいろな問題を抱えています。それなら別々でなく、“高齢者と子ども”の組み合わせで解決できることがあるんじゃないかと思います。一度、茶々の子どもたちが<銀木犀>に遊びに来て、入居者にお茶を入れてくれたことがありましたね。
    迫田
    皆さん、喜んでくれました。子どもたちがガンバっている姿を見て、「とても元気になった」と言ってくださって。子どもたちにも高齢者を敬う気持ちが育ったと思います。

    下河原
    できればそれを恒久的なカタチにしたいですね。保育園と高齢者施設を隣接して建てている場所もありますが、日常的な交流があるケースは少ない。そこでボクは、同じ住宅に、高齢者や、子どもとその家族、その他、多様な人々が一緒に住めるような場所を作りたいと思っています。
    迫田
    それはいいですね。
  • 下河原
    サービスも施設職員が全部やってしまうのではなく、コミュニティの中のいろいろなやりとりで賄えるといい。食事も住んでいる人が交代で作って、みんなで集まって食べたり。
    迫田
    子どもの友達が外から遊びに来たり。
    下河原
    そこで高齢者が遊びを教えたりする。おじいちゃん、おばあちゃんも「してもらいたい」ではなく「誰かのために何かをしたい」と思っている人が多い。そんな潜在能力や人と人のかけ算で生まれるパワーが発揮される場所を作りたいですね。で、こういうビジョンは往々にして語るだけで終わることが多いんですけど、当社は一歩踏み出そうとしています。
    迫田
    え、何をやっているんですか?
    下河原
    亀戸に建てる予定の<銀木犀>は敷地がかなり大きいので、別棟で外国人旅行客向けのホステルを作ろうと計画しています。
    迫田
    亀戸ですか。浅草に近いし、下町のいい感じの風情も残っているので旅行客にも魅力的な街だと思います。
    下河原
    日本のトラディショナルな街並みや暮らしにふれたいという人も多いでしょう。そこで、外国人旅行客向けの宿泊施設や亀戸の街のガイドブックを用意しようと思っています。そして、その1階にカフェをつくる。世界の国々の人とおじいちゃん、おばあちゃんが交流するわけです。
    迫田
    なんだか、おもしろそうですね。
    下河原
    銭湯も作りますよ。壁にはもちろん、富士山の絵。近所の人たちにもじゃんじゃん来てもらおうと思っています。
    迫田
    ハチャメチャですね(笑)。でも、それってニーズの複合体ですよね。ビジネスとしても成立するでしょう。既成概念を打破して、新しい福祉施設のカタチをデザインしていこうとする下河原さんのバイタリティーは素晴らしい