保育園や子育て・教育は
どれだけ魅力的になるか、という挑戦
- おちまさと氏
- CBO
茶々保育園グループから、保育・教育の新しい価値と魅力を発信する!そう決意した迫田健太郎CEO(最高経営責任者)は、数々の放送コンテンツや書籍、企業や商品のプロデュース実績で名高いおちまさと氏をCBO(チーフブランディングオフィサー)に迎え、自らのグループの刷新を図った。そのプロジェクトの第1ステージが完了しようとする頃、これまでを振り返る意味も込め、この対談は行われた。話は二人の出会いから、プロジェクトの背景、そして未来の展望へと広がる。
「趣味は衣食住」が気になって・・・。
迫田:
おちさんのことは以前からテレビや書籍等で拝見していたのですが、強く意識するようになったのは、ブログで「趣味は衣食住」と書かれていたのを見てから(笑)。
おち:
衣食住を楽しまずに何を楽しむのか、と(笑)。
迫田:
保育園も基本は衣食住。扱っているのは生活そのもの。なので、こういう人と組むと、我々の保育園がもっとおもしろくなるのではないかと思ったわけです。ちょうどその頃、自分たちのビジョンを自分たちだけでカタチにしたり、伝えていくことの難しさを感じていたので、まずは「茶々保育園グループの魅力をどう創り、どう世の中に発信していくか」というフェーズに関わっていただこうと知人の紹介を通して会うことになりました。
おち:
ボクは、ほとんどタイミングだけで仕事しているようなところがあって(笑)。5年前に娘が生まれて、同じやるなら徹底的に楽しもうという想いで育児していました。そうしたら、厚生省のイクメンプロジェクト推進メンバーに選ばれたり、ベビーカーやウェア、果ては遊園地や子育てを一番に考えた家づくり等のプロデュースを依頼されるようになりました。そして、これからは明るく元気に育てるだけでなく、「教育」といった側
子育てがハッピーでもいいじゃない。
おち:
印象的だったのは「うちの園では、子どもを子ども扱いしないんですよ」という話。
迫田:
子どもであっても、一人の人間として尊重するということです。私たちの保育の原点であり、核になる考えです。
おち:
「子どもだけじゃなく、パパやママ、保育士や地域の人々もハッピーになれる場所にしたい」という意見にも共感しました。
迫田:
お話を進めるうちに、おちさんがすごく楽しんで子育てをしていることがわかりました。私はプライベートでも子育て真っ最中なので、素直に「いいな」と思いましたね。こういったハッピーな感じが保育園という場から広がればいいな、と。
おち:
ハッキリ言うと、これまでの保育園って悲壮感とかたいへんさばかり目立っているんですよね。ママたちは髪振り乱して送り迎えしている。子どもたちは、色のくすんだ帽子とかスモックを着せられて散歩している。保育士さんもジャージに・・・、上に着ているあれはかっぽう着ですか?若い20代の女性も多い職場で、見た目があまりにイケてないのはまずいですよね。
迫田:
そういうところを我慢するのが美徳のように思われているかもしれません。大人がキラキラしていたら「そんな暇があるなら子育てしろ」とか言われかねない。確かに保育園に通わせるには、さまざまな事情があるわけですが、それでも何らかの方法でみんながハッピーになれれば、そのほうがいいですよね。
おち:
ぼくは「子育ては手段」だと思うんです。本当の目的は、子どもを愛して成長を支えることですよね。それができれば、必要以上の我慢をしなくてもいいのではないか。なにより、子どもだってオシャレなものを身につければうれしいし、パパやママ、保育士さんたちが笑顔でハツラツとしているほうが喜ぶでしょ。
迫田:
おちさんには、そういった保育園にまつわる固定観念から開放されるようなプロデュースを期待しました。
おち:
そのために「いろいろやっちゃいますけど、いいですか?」と聞いたら、「どんどんやっちゃってください」と(笑)。
迫田:
はい。確かにそう言っちゃいました(笑)。
茶々保育園・・茶々・・お茶・・、カフェだ!
迫田:
そこで、実際に保育園を見に来ていただくことになったのですが、おちさんはずっと「あれ?」という表情をされていました。
おち:
茶々保育園というインパクトも魅力もある名前だし、素晴らしい保育・教育をしているのに、お茶に関するものがあまり多くは見あたらない。
迫田:
裏に茶畑がありますけど、そうじゃないと(笑)。
おち:
企業のピーアールの仕事をする時にも、よく社員さんに社名の由来を聞きますが「わかりません」という人が多い。で、調べてきてもらうと、とてもいい意味が込められている。どうしてそれを使わないのか、と(笑)。やはり、名前はコミュニケーションの第一歩なので、ものすごいヒントが隠されています。
迫田:
そこから、カフェというコンセプトが生成されていきました。
おち:
日本茶、茶室・・・、でもいいですけど、迫田さんから聞いた茶々保育園のビジョンを加味したら、カフェになりました。欧米にはカフェ文化というものがあって、飲み物を飲みながらくつろぐだけでなく、いろいろな人が集い、語らい、新しい関係性や価値を生み出す場として捉えられています。
迫田:
「お茶しませんか」と言いながら、人の輪が広がる感じですね。
おち:
そのとおりです。で、時にはちょっとした討論会やコンサート、詩の朗読や演劇、パフォーマンスの披露の場にもなる。そこまで行かなくても、そういった多様でゆたかな可能性を備えた場になればいいのではないかと思ったのです。さらに、こういったコンセプトは、リアルにカタチにしたほうが伝わりやすい。
おち:
ということで、ここ(茶々むさしせき保育園)には、このようなカフェを実際に作ってしまいました。設計士さんも大工さんたちも、みんなビックリしてましたよ(笑)。
カラー、マーク、帽子、エプロン、次は何だ!?
迫田:
たいへんでしたけど、でもカフェを作ってよかったです。パパやママたちに憩いの時間を提供できるだけでなく、なかなか言葉だけでは伝わらない想いがこのカフェができたことで理解されはじめている実感がします。
おち:
そこから、茶々保育園グループのイメージカラーやロゴマークにも発展させていきました。
迫田:
イメージカラーのブラウンは、ちょっと渋いかなと思いましたが、園舎でポイント的に使うことで周囲との調和がバツグンで、ご近所の方々からも好評です。好評と言えば、子どもたちがかぶる帽子や保育士が身につけるエプロンも。
おち:
どちらもこれまではぼんやりした色が多かったと思うのですが、落ち着きと存在感がある色味にしました。
迫田:
「ちゃんとした帽子だから服装も」と自分なりにおしゃれしてくる子どももいます。「子どもだから、子どもっぽいものでいいだろう」とごまかすのではなく、こういった方法で感性を育んであげられるのはまさに願ったとおりです。
おち:
パッと見だけでなく、実はいろいろと考えて作っているんですよ。エプロンのポケットは保育士さんたちの仕事内容を考えて収納性を高めているし、切り込みを入れて身につけた時のシルエットが美しくなるように仕立てています。
迫田:
子どもだけでなく、ここで働く保育士たちにも成長してほしい。保育のスキルだけでなく、見た目もです。そばにいる大人が魅力的だったら、子どもたちもそんな大人になりたいと思うでしょう。だから保育士たちにも「見られている」という意識を持ってほしい。同時に、茶々保育園グループの保育士たちを見て、これから保育士を目指そうとする若い人たちが「茶々保育園で働いてみたい」と思うになってほしい。このエプロンはそんな「魅力的な保育士の目印」にしていきたいと思います。
保育園や子育て・教育は どれだけ魅力的になるか、という挑戦。
迫田:
この仕事をはじめて、10年以上たちますが、実はもともと子どもは得意じゃなかったんです(笑)。
おち:
ボクも飛行機や新幹線に子どもがいるといやでしたね。でも、娘が生まれて180度かわりました。泣いている子どもがいるとあやしに行きたくなります(笑)。
迫田:
それは自分に子どもができたということも大きいですが、保育園のような子どもが育っている環境が近くにあるかどうかということも重要だと思います。
おち:
子どもや子育てというものと距離があるから、わからないことが多いし、わからないと拒絶したくなる。保育園ができる時に反対運動が起きるのもそういった現実と無関係じゃないと思う。
迫田:
だから、私は保育園をもっと地域に開かれた場にしていきたいと考えています。老人ホームへの慰問等をやっているところはありますが、もっと多くの方々と交流し、意見やアイデアを交わして新しい価値を生み出したい。このカフェはそのための突破口になると思います。
おち:
今や少子高齢化時代の「化」が取れた、少子高齢時代。たくさんの若い人たちが子どもを生み育てるようになるためにも、ハッピーに感じられないとダメでしょう。それは、保育園で育っている子どもたちにも言えること。自分たちや周囲の大人がハッピーに見えなければ、大きくなって子育てしようと思わない。
迫田:
そのために、既成概念にとらわれずに、保育園や子育て・教育の新しい魅力をどんどん生み出して発信していきたいですね。おちさんにはこれからもエネルギッシュなプロデュースをお願いします。
おち:
ぼくは「子育ては手段」だと思うんです。本当の目的は、子どもを愛して成長を支えることですよね。それができれば、必要以上の我慢をしなくてもいいのではないか。なにより、子どもだってオシャレなものを身につければうれしいし、パパやママ、保育士さんたちが笑顔でハツラツとしているほうが喜ぶでしょ。
迫田:
もう次のことを考えているので、楽しみにしていてください。
- おちまさと
- CBO(チーフブランディングオフィサー) 1965年12月23日東京都生まれ。プロデューサー。
数多くの人気番組やWEBサイトの企画、ファッション、数多くの企業ブランディングまでジャンルを越えて活躍。
近年では、東京スカイツリーソラマチ室内遊園地「東京こども区こどもの湯」総合プロデュースや、大和ハウス工業株式会社イクマチ総合プロデューサーを始め、大手イベント会社や保育園、出版社、不動産、マーケティング会社、IT企業、ウォーターサーバー会社、デリバリー会社、食品企業など数十社のCBO・顧問・ブランディングプロデュースなども手掛け、その活動は多岐にわたる。
さらに、厚生労働省イクメンプロジェクトメンバー、経済産業省「クール・ジャパン戦略推進事業・企業マッチンググランプリ」、・イクメンオブザイヤー総合プロデューサー・ベストチームオブザイヤー総合プロデューサーも務める。
「対談の名手」として雑誌や書籍のインタビュアーを務めることも多く、またブログやツイッターが高いアクセス数を誇り情報キュレーターとしても信頼度が高い。企業・学校などでの講演活動も多数行う。著書も多数出版。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/ochimasato/
Twitter http://twitter.com/ochimasato